iPhoneの防水性能は信用できない?そもそも「防水」とは?メカニズムと注意点を解説

当店は、なんば、梅田、京都河原町でiPhoneやAndroidスマホの修理を行っております、スマホ修理店のスキルワンでございます。

河川や海のレジャーシーズンで、ゲリラ豪雨や台風も多い梅雨入り~夏場にかけては

「iPhoneを水没させてしまった!」

というご相談が非常に多くなります。

 

iPhoneはCMなどで自信満々に「濡れても大丈夫です!」とアピールするものですから、ユーザーとしてはついつい濡らしてしまいがちですが、

どれだけ防水を謳った機種でも、条件によっては簡単に水没してしまいます。

 

 

 

 

しかも、一度水没してしまったスマホは、どれだけ処置を施しても元の健康な状態には戻りません。

起動中の電子機器内部への液体の侵入は非常に危険性が高く、動作全てを司る中枢である基板(マザーボードやロジックボードとも呼びます)にダメージが及んでしまうと、ほぼ確実かつ、永久に元に戻らなくなってしまいます。

電子回路とチップの塊である基板(マザーボード)は、液体や湿気に対して非常に脆弱です。

何億もの脳細胞が繋がりあった脳の病気は治療が難しいように、無数のチップや回路が埋め込まれたマザーボードの修復も、難易度はかなり高い…というより、完全な修復はほぼ不可能といってよいでしょう。

 

今回は、いろいろと誇張されがち、誤解されがちなiPhoneの「防水」に関する注意点を紹介します。

 

そもそもiPhoneは「防水」ではない

Apple公式サイトの「iPhone 7 以降の防沫・耐水・防塵性能について」というページでは、iPhoneの防沫・耐水などの性能についての説明や、性能が失われる条件、推奨しない使い方などの注意事項が記載されています。

 

さて、もうお気づきの方もいるかもしれませんが、ページのタイトルをもう一度見てみましょう

そう、「防水」という単語を使っておらず、「防沫・耐水」という表記になっているのです。

 

Apple社はiPhoneを「防水」とは表現せず、「防沫(しぶきの侵入を防ぐ)」や「耐水(水にある程度耐えられる)」という表現を使うようにしています。

AppleはiPhoneを「多少濡れても大丈夫!」とアピールして販売する一方で、こうして

「厳密には防水(液体の侵入を完全に防げる)ではありませんので、万一水没しちゃっても責任は取れませんよ」

というページも作っています。

あくまでも推測ですが、わざわざWEBページを1つ用意するくらいですから、完全防水だと思っていたユーザーからのクレームが多かったのかもしれませんね。

 

◆まとめ

・AppleはiPhoneの防水性能の高さをアピールしているが、一方で「完全防水ではないので責任は持てない」と強調するWEBページを公開したりしているので、過信しない方がよい

 

iPhoneの「防水」の仕組み

冒頭で説明した通り、スマホのような電子機器の基板は液体に対して非常に脆弱です。しかし、肌身離さず持ち歩くことが当たり前のスマホは、常に液体による破損のリスクにさらされているといっても過言ではありません。

では、iPhoneはどのようにして液体の侵入を防いでいるのでしょうか。

iPhoneの内部、本体フレームのフチ部分には、粘着性の高い耐水テープがぐるりと一周するように貼り付けられています。

この耐水テープで隙間をふさぐことで、液体やゴミ、粉塵の侵入を防いでいます。

すっごい高価な機器の割にはずいぶんと単純な仕組みに思えますが、このテープの有無で液体の侵入率はかなり変わってきます。

完全防水は無理でも、耐水テープ無しだと故障率は今以上に跳ね上がってくるでしょう。

 

ちなみに、iPhone以外のスマホでも、「防水/防塵」「耐水」と表記がある機種ならば、おおよそ同じような方式で水の侵入を防いでいます。

 

この耐水テープは結構強力で、本記事執筆時点で最新のiPhone14シリーズは

「水深6mに沈めても最大30分は耐えられる」

とされています。

しかし、その性能指標は、あくまでも常温の真水で測定された結果をもとに決められたもの。世の中に存在する様々な液体全てに強いわけではないことに注意しましょう。

たまに「食べ物の汁が思いっきりかかっちゃったんですけど、防水だから大丈夫ですよね?」という相談をいただくことがありますが、全然大丈夫じゃありません。

 

粘着テープなどに使われている接着剤は、油脂や界面活性剤、アルコールに触れると溶け出す性質があり、温度が高くなっても粘着力が弱まることが知られています。

汗、お風呂のお湯、石鹸や洗剤、消毒液などなど、身の回りにあるありふれた液体が少量触れるだけでも、確実に耐水テープの力は弱まってしまいます。かかった液体の成分や温度、量によっては、十数万円もするiPhoneが一瞬で壊れることも多々あります。

また、日常生活でそれらの液体を完全に防ぐことはほぼ不可能ですので、ただ普通に使っているだけで徐々にiPhoneの耐水性能は弱まってしまいます。

特に、汗や手垢は知らないうちに隙間から入り込み、汚れとしてiPhoneのあちこちにたまってゆきます。

画面フチのごくわずかな隙間に溜まった、外からは見えない手垢汚れや汗のせいで、耐水テープがボロボロになったiPhoneは非常に多いですね…!

 

◆まとめ

・iPhoneをはじめスマホの耐水性能(防水性能)は、日常に存在する様々な液体全ては防げず、条件によってはすぐに水没してしまう

・スマホの耐水性能は普通に使っているだけでも徐々に劣化してしまう

・汗や手垢はスマホの防水の天敵

 

iPhoneはどれくらいのレベルの水没に耐えられるのか

iPhone7以降のiPhoneシリーズは、国際的な標準規格に則った製品試験を行い、基準をクリアすることで与えられる「IP規格」と呼ばれる防水/防塵等級を取得しています。

iPhone7以降の機種は、どれもIP68もしくはIP67等級を取得しており、これは電子機器の防水・防塵性能としては最高クラスであることを証明しています。

完全防水ではありませんが、多少水がかかった程度で壊れる可能性は低いと言ってよいでしょう。

 

ただし、これはあくまでも新品のiPhoneで、環境の整った実験室内での結果であることに注意してください。

2023年9月現在で最新のiPhone14は、「水深6メートル、30分間の水没」には耐えるとされています。

が、当店では「ちょっと濡らした程度なのに壊れてしまった」というご相談も多数寄せられています。

経年劣化、汗・手垢などの汚れ、液体の成分、温度によって耐水性能は変動してしまうので、過信は禁物です!

 

◆まとめ

・iPhoneの防水性能は国際的な基準もクリアしており、電子機器の防水としては高レベルだが、限界はある

 

iPhoneが水没してしまう使い方

iPhone 7 以降の防沫・耐水・防塵性能についてのページをよく読むと

”実験室の管理された条件下でテストを実施済みです。”

という文章が記述されていることがわかります。

IP規格試験をクリアした実績はあるものの、それは「環境の整えられた実験室内」での成果であり、あらゆる環境での防水性を保証するものではない、という点には注意した方がよいでしょう。

 

では、具体的にどんな扱い方をすると水没してしまうのでしょうか?

これも、AppleのHPに書かれている注意事項を見るとある程度予測できます。

 

”水濡れによる損傷を防ぐため、以下の行為はお控えください。

●iPhone を着用したまま泳ぐまたは入浴する
●iPhone に水圧が強い水や流速が大きい水をかける (たとえば、シャワー、ウォータースキー、ウェイクボード、サーフィン、ジェットスキーなど)
●iPhone をサウナやスチームルームで使う
●iPhone を意図的に水没させる
●推奨される温度範囲外、または極度に湿度の高い条件下で iPhone を動作させる
●iPhone を落とすなど、衝撃を与える
●iPhone を分解する (ネジを外すなど)”

https://support.apple.com/ja-jp/HT207043より引用

 

Appleが”控えるべき”と説明する使い方の中には、皆さんも心当たりのある項目が多いのではないでしょうか?

真っ先に挙げられている「iPhoneを着用したまま泳ぐまたは入浴する」という行為は、やったことがない人の方が少ないかもしれませんね。

 

まとめ

・入浴しながらのスマホなど、「防水って書いてあるし…」とついやりがちな使い方でも、「壊れるからダメ!」とされていることがある

 

水没したiPhoneを修理に出すときの注意点!

スマホの修理屋さんの料金表を見ると【水没復旧作業】という項目が載せられていることも多いですが、基本的には

・データのバックアップが取れる程度の状態まで復旧させることが目的

・長期間安心して使えるわけではない。場合によっては数日もたないこともある

という前提条件があります。もちろん、当店での水没復旧作業も同じです。

水没復旧自体は、成功例も多く実績のある修理内容です。成功さえすればデータも消えませんので、速やかに新しいスマホへデータを移せばOK。

しかし、バックアップを後回しにした結果、再び電源が入らなくなり、お金をかけて修理したにもかかわらず、結局データを取り戻すことができなかった…というケースも残念ながら起こっています。

繰り返しになりますが

・スマホが一度でも、少しでも水没したら、そのあとは何が起こってもおかしくない

・どんな処置を施しても再発リスクは消えることはない

・もし水没してもまだ動いているなら、速やかにバックアップをとること!

この3点を、強く強く意識してこの夏を過ごすようにしてくださいね!!

 

◆まとめ

・iPhoneが水没しても、すぐに修理店に持っていけばなんとか復活できる可能性はある

・ただし、いったん直ったとしてもまたすぐ故障してしまう可能性があるため、早めに新しいスマホにデータを移すべき

 

もしiPhoneやその他スマホの水没でお困りなら、ぜひスキルワンまで

動かなくなってしまっても、早めに対応すればデータだけは救えるかもしれません。

お問い合わせはこちらから